クラシック音楽定期演奏会曲目ランキング!一位は当然あの曲!?

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  • 最終更新日:2019年05月09日
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定期演奏会ランキング

コンサート会場でたまに『日本オーケストラ連盟ニュース』という冊子が置いてあります。3ヶ月に一度出る物の様で、毎年集計が終わり次第、次に出る冊子に「〇〇年度定期演奏会演奏回数ランキング」という記事がでます。

作曲家別と演奏曲目別のランキングが出ていて、クラシックファンにはこれが結構面白く読めます。

これはあくまでも「定期演奏会」のみの集計結果であることを常に頭において読んでください。この縛りがないとおそらく第1位は作曲家も、演奏曲目もベートーヴェンの「第9」になってしまう筈です!

変化が分かる方が面白いので参考に2016年度版も載せました。比較対象としてぜひご覧ください。

日本オーケストラ連盟について

日本オーケストラ連盟について

全国のプロオーケストラで作られている連盟で、正会員が25オーケストラ、準会員が11オーケストラ加盟している公益財団法人です。日本のプロオーケストラの発展のために活動しています。

この公益法人が3ヶ月に1度出している冊子が冒頭で紹介した『日本オーケストラ連盟ニュース』です。各オーケストラの活動状況から、財務状況、オーケストラに関連するニュース等が載っているものです。

定期演奏会ランキングを読む前の3ポイント!

定期演奏会ランキングを読む前の3ポイント!

今回のランキング記事を面白く読んでいただくために3点ほど予備知識が必要になると思いますので少しの間お付き合いください。

クラシック音楽「定期演奏会」とは

プロのオーケストラが現在の力量を聴かせる為に定期的に特定のホールで開催する自主企画の演奏会を「定期演奏会」といいます。

毎月1回程度行うことが多いですが、複数回の定期演奏会や、演奏会場ごとに別の定期演奏会を持つオーケストラもあります。

演奏楽曲については、定期演奏会ではオーケストラの芸術性の追究といった面が前面に出ていて、大曲、難曲やなじみの作曲家の作品の中でも比較的演奏される機会が少ない楽曲が選ばれる傾向にあります。

聴衆に対して自分達の実力を見せる場でもあります。ですからほとんどのオーケストラがエキストラをほとんど使わず、正団員を中心とした演奏を披露します。まさにそのオーケストラの実力を誇示し、内外に知らせるための演奏会というべきものです。

クラシック音楽「特別演奏会」とは

特別演奏会は定期演奏会とは別になじみのある演奏曲を取り上げ、指揮者やソリストには人気の高い演奏者を選ぶことによって、興行収入が上げられるように企画されます。

定期演奏会のために海外から招聘した指揮者などは、数回の定期演奏会だけでは経費面での負担をカバーできないため、同時期により通俗的なポピュラー曲で特別演奏会を組み公演することも多くあります。

ランキングデータについて

2017年度の定期演奏会回数総計は不明なため今回は2016年のもの(総計522回)を使用しました。毎年そう変動する物ではないので、影響はないものと考えます。

今回のランキングは日本オーケストラ連盟の正会員25オーケストラの定期演奏会の作曲家別総計と演奏曲目総計においてどういった傾向にあるかを載せているものです。

定期演奏会作曲者別演奏回数

2017年度正会員25オーケストラの定期演奏会の回数総計522回を元にランキングした、作曲者別ランキング表です。演奏回数に注目しながらお楽しみください。

2017年作曲者別ランキング

順位

演奏回数

割合(%)

作曲者

1

94

18.00

モーツァルト

2

61

11.64

ラヴェル

3

59

11.30

ブラームス

4

54

10.34

ベートーヴェン

5

41

7.85

チャイコフスキー

6

29

5.55

シューマン

7

28

5.36

ショスタコーヴィッチ

7

28

5.36

プロコフィエフ

9

27

5.17

ドヴォルザーク

9

27

5.17

ブルックナー

11

25

4.78

ハイドン

11

25

4.78

メンデルスゾーン

13

24

4.59

R.シュトラウス

14

22

4.21

武満 徹

14

22

4.21

J.シュトラウスⅡ

14

22

4.21

シベリウス

17

21

4.02

ラフマニノフ

2017年度作曲家別ランキング考察

2017年度定期演奏会演奏回数ランキングはベートーヴェンの1位陥落やモーツァルトの躍進など、例年とは違った傾向があったようです。

2017年度作曲者別について

不動の1位であったベートーヴェンが4位に滑り落ちました。この統計を取り始めて初めての事だそうです。

モーツァルトがダントツの1位、占有率18%。これはなかなか出る数字じゃないです。約5回に1回はモーツァルトの作品が演奏されていた事になります。如何に2017年度にモーツァルトが演奏されたかがよく分かります。

ラヴェルが何と2位。驚きました。ラヴェルは没後80年ということで浮上したようです。ラベルも人気のある作曲家ですからね。

一方、ベートーヴェンの凋落振りはどう説明すればいいのでしょうか。でも、かろうじて占有率が10%超えで踏ん張っている事が救いです。「定期演奏会」は楽団の一番力を見せる演奏会ですので、もはやベートーヴェンの作品以外で自分達の力を示そうという時代の先触れなのでしょうか。

J・シュトラウスⅡについてはなぜランキングに入ったのかよく分かりません。アニバーサリーも無く、これについては謎です。パンフレットの解説にも彼については触れていません。

後の作曲家達は有名どころがランクインしていてまあ妥当なのかなというところですが、シューベルトとマーラーが無いのも不思議です。

マーラーは大編成オーケストラが必要で「定期演奏会」でエキストラを使いたくないという事と、楽器の種類も多く必要とされるので敬遠されるのでしょうか。それだけお金が掛かりますから。

それと人気のあるマーラーですから各オーケストラともマーラーの全曲演奏を終わったところなのでしばらく間をおくといった事も考えられます。

シューベルトについては集客力の問題でしょうか。「未完成」以外は余りなじみの無い曲が多いですからね。

武満徹がランクインしているのも嬉しい限りです。連続してそれなりに演奏されているという事ですから、日本人として素直に喜びたいです。

オーケストラの自主企画演奏会にはもうひとつ「特別演奏会」というものもあります。これは比較的名曲を中心にした演奏会なので、これの中でベートーヴェンやマーラーが演奏されているのだと思います。そのデータは残念ながらないので、これも想像の範囲の話です。

2016年作曲者別ランキング

順位

演奏回数

割合(%)

作曲者

1

79

15.13

ベートーヴェン

2

67

12.83

モーツァルト

3

60

11.49

ショスタコーヴィッチ

4

56

10.72

チャイコフスキー

5

48

9.19

ブラームス

6

38

7.27

プロコフィエフ

7

35

6.70

ドヴォルザーク

8

26

4.98

マーラー

8

26

4.98

シューマン

10

25

4.78

ラヴェル

10

25

4.78

ハイドン

12

24

4.59

武満 徹

12

24

4.59

R.シュトラウス

13

23

4.40

ラフマニノフ

13

23

4.40

メンデルスゾーン

14

22

4.21

シューベルト

14

22

4.21

ブルックナー

2016年度作曲者別ランキング考察

2017年度定期演奏会作曲者別ランキングと比較して見ていただきたいために載せておきました。2017年度と見比べて違いが大きいのが一目瞭然だと思います。

2016年度作曲者別について

ベートーヴェンが1位に君臨しています。2位にはモーツァルト。順当な結果でしょう。3位のショスタコーヴィッチは生誕110年のアニバーサリーということで銅メダルです。

生誕125年ということでプロコフィエフが6位に入っています。その他アニバーサリーは武満徹の没後20年でした。

チャイコフスキーがブラームスより上というのもちょっと不思議な感じはありますが、アニバーサリー以外の作曲家はマーラーも入っていますし、まあ後は妥当な作曲家が並んでいるでしょうか。

こちらは比較のために使うにはちょうど良い具合のランキングになっていて、例として代表的ランキングになっています。

2017年演奏曲目別ランキング

順位

演奏回数

割合(%)

作曲者:曲名

1

13

2.49

ブラームス:交響曲第4番

2

11

2.10

ブラームス:交響曲第1番

2

11

2.10

モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

4

10

1.91

ブラームス:交響曲第3番

5

9

1.72

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

5

9

1.72

メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

7

8

1.53

モーツァルト:交響曲第40番

7

8

1.53

コダーイ:ガランタ舞曲

7

8

1.53

シューベルト:交響曲第7(8)番「未完成」

7

8

1.53

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

7

8

1.53

ラヴェル:ボレロ

2017年度演奏曲目別ランキングの考察

2017年度定期演奏会演奏曲目別ランキングは作曲者同様モーツァルトの驚異的な躍進など、こちらも例年とは違った傾向があったようです。

2017年度演奏曲目別について

ベートーヴェンが1曲もランクインしていません。それに引き換えブラームスの人気には脱帽です。5位までに4曲もランクインです。その中でも『交響曲第4番』が1位というのも時代の変化があるように思えてなりません。

4曲の占有率を合計すると8%です。なんと12回に1回はブラームスのこの4曲のどれかが演奏されていたということになります。

モーツァルトは作曲家1位ということもあり、『交響曲第41番』と『第40番』がランクインです。おそらく3大交響曲として『第39番』も演奏が多かったと思われます。それと演奏回数が94回という事はそれら意外にもヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲が万遍無く演奏されたという事でしょう。

作曲家で2位のラヴェルはやはり『ボレロ』が入りました。これも予想の範囲内でしょうか。最も有名な曲ですからね。

コダーイが入っていますがこれは没後50年ということでランクインという事でしょう。そう一般的な曲ではないので今年度限りだと思います。

ランク外のベートーヴェンですが解説にあったのは『交響曲第3番』が7回、『交響曲第7番』が5回という事でした。ヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲はもっと少ないということになりますね。『運命』や『田園』が入らないのなら分かりますが、協奏曲自体も演奏が少なかったのは意外でした。ベートーヴェンの人気は本当に下がったのかどうか、来年度の結果が気になるところです。

2016年演奏曲目別ランキング

順位

演奏回数

割合(%)

作曲者:曲名

1

13

2.49

ショスタコーヴィッチ:交響曲第10番

2

11

2.10

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

3

10

1.91

プロコフィエフ:古典交響曲

4

9

1.72

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番

4

9

1.72

ベルリオーズ:幻想交響曲

4

9

1.72

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

4

9

1.72

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

8

8

1.53

ブラームス:交響曲第2番

8

8

1.53

ブラームス:交響曲第3番

8

8

1.53

ブルックナー:交響曲第9番

8

8

1.53

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

8

8

1.53

ラヴェル:バレエ音楽「ラ・ヴァルス」

8

8

1.53

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲

2016年度演奏曲目別ランキング考察

2016年度定期演奏会演奏曲目別ランキングは割と普通の傾向の年度だったように思います。比較する例としてはいい年だと思います。

2016年度演奏曲目別について

ショスタコーヴィッチは生誕110年というアニバーサリーで1位はしょうがないでしょう。アニバーサリーで言えばプロコフィエフも生誕125年というところで納得です。

ベートーヴェンは順当に3曲入っています。根強い人気です。どの曲かは毎年変わりますが、必ず2、3曲ランクインしています。

後はブラームス、チャイコフスキー、ベルリオーズ等順当です。本当にこの年はアニバーサリーの作曲家を除いて、まさにごくごく普通のランキングでした。ただひとつ残念なのがシベリウスがランキング外だったことぐらいでしょうか。

クラシック音楽界の今後の展望

クラシック音楽界の今後の展望

2017年度はベートーヴェン、マーラーランク外など少し偏った傾向になっていました。今後こういった傾向が続くのか注目したいところです。

クラシック音楽にも存在する流行り、廃り

クラシック音楽も他の音楽同様、流行、廃りがあります。けれどもベートーヴェンが1曲もランクインしなかったことは少し考察して見る事が必要です。

ベートーヴェンは「定期演奏会」で演奏するような曲では無くなりつつあるのでしょうか。日本人のベートーヴェン好きもあって随分演奏されてきていますから。「名曲コンサート」のような形での演奏会が多くなってくるのでしょうか。

またマーラーもランキングに載って来ないのも分かりません。これだけ海外のオーケストラが来日するたびにマーラーはかなり演奏されているのに、不思議です。人気がありすぎて、どのオーケストラも演奏しすぎて少し時間を置くようなタイミングなのでしょうか。パンフレットにはマーラーのマの字の解説もありませんでした。

ブラームスはどの曲も素晴らしい物ですが、ベストテンに4曲も入ることも意外でした。2017年度の流行だったという事ですね。モーツァルトも然り。

こうなると今年がどうなのか早く確認したくなりますね。これからシーズンが始まるのに、気が早すぎますかね。

各オーケストラとも音楽監督が明確になり、独自性を出そうとしている意欲は感じられます。だから「定期演奏会」のプログラムも意欲的になって、通俗名曲を避ける傾向が強くなっているのかも知れません。

聴衆の変化

ランキングの変化は聴衆側の変化でもあるのかも知れません。わざわざ「定期演奏会」で『運命』なんて聴きたくないという若い世代が増えているということもあるかもしれません。

前段でオーケストラの独自性と書きましたが、その事とも関係がありそうです。音楽監督がプログラムを組むときに考える事は、契約が終わるまでのある程度の期間の曲目をある程度決めて、それから年間のしっかりしたプログラムを決めていきます。

その中でベートーヴェンはなかなか組み込めないのでしょうね。意欲あるプログラムといえるものは現代音楽とか滅多に演奏されない曲を入れるので、バランスなどもあるのでしょう。集客面からはベートーヴェンとか入れたいのでしょうが、そうもいかないのでしょう。

マーラーも結構人気の作曲家ですが、マーラーチクルスはひとまず打ち切りだったのでしょうか。今後また増えてくると思われます。

オーケストラは集客面も考えねばなりませんので、現在の人気曲とかも考えてプログラムを決めねばなりません。ブルックナー、ブラームス、モーツァルトといったところは外せないのでしょうね。

現在のクラシック界は意外と若者が支えている面もあって、ベートーヴェンよりはマーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィッチなどもプログラムに組み入れていかないと、難しい面もあるのかもしれません。

それと意外と人気があるのが印象派。ラヴェルとかドビュッシー。オーケストラのプログラムの決め方もある程度聴衆の人気度合いも考えねばなりません。

ドイツ古典派中心に聞いて来た日本の聴衆も現在では多様化の道を歩き始めたと考えて良さそうです。

まとめ

2017年度定期演奏会演奏回数ランキングを見た考察を簡単にみてきました。ベートーヴェンの凋落振りやモーツァルトの躍進、ブラームスの人気の高さ等確認してきました。

私個人ではベートーヴェン振るわずという面が驚きであり、落胆の元でもありました。

来年に発表されるこのランキングがどう変わるのか今から楽しみです。皆さんにも『日本オーケストラ連盟ニュース』を読まれる事をお勧めします。今回取り上げたランキングだけではなく、各オーケストラの活動状況が載っていて楽しく読めます。

日本オーケストラ連盟のホームページからも簡単にダウンロードできます。ぜひご一読して頂きたいと思います。

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