ゲーム障害をWHOが依存症として認定!ゲームをやめられないのは病気かも!?
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- 最終更新日:2019年06月03日

世界的にゲーム人気は衰えを知らず、オリンピックの種目になるのでないかなどの憶測が飛び交っているほど、その需要は計り知れません。その一方で、ゲームのやりすぎによる過労死などもテレビやニュースでよく見かけるような時代となってしまいました。
インターネットやスマートフォンなどの普及に伴い、ゲームのやりすぎで生活や健康に支障が出ている人が世界各国で相次いで報告されているために、世界がゲーム依存を病気として認めないわけにはいかなくなってしまったのです。
最新の現代病と言っても過言ではない「ゲーム障害」。依存性の高さや、予防策など様々な角度から紹介しています。また、自分自身で「ゲーム障害」かを判断する簡単なチェック項目もありますので最後までご覧ください。
「ゲーム障害」の病気認定
2019年5月25日、ジュネーブで開かれたWHOの総会で、病院での診断や治療を必要とするケガや病気などをまとめた、国際的リストである「国際疾病分類(IDU)」に「ゲーム障害」が新たに加わってしまったのです!!
アルコール、ドラッグ、ギャンブルなどが依存症として良く知られていますが、今回の決定は「ゲーム」をそれと同列の依存症として認定したことに大きな意味があります。
「ゲーム障害」の増加
ゲーム依存は各国で社会問題となっています。健康や社会生活に悪影響が出ている人はまだごく一部とみられますが、その裏に隠れている予備軍といえる人たちはかなりの数にのぼると想像出来ます。
厚生労働省によると、日本ではオンラインゲームを含めた病的なネット依存が疑われる中高生が推計93万人と過去5年間で倍増したそうです。
「ゲーム障害」と診断される基準
「ゲーム障害」は、テレビやパソコン、スマートフォンなどでゲームをしたい欲求を抑えられず、飲食ができなくなったり、仕事に行けなくなったりするなど生活に支障をきたしている状態のことを指します。
「ゲーム障害」診断基準
WHOによると以下の理由により、個人・家族・社会・学習・仕事などに重大な問題が生じる状態が12ヶ月以上続いた場合「ゲーム障害」と診断されます。
1.ゲームをする頻度や時間をコントロールできない。
2.日常生活のなによりもゲームを優先してしまう。
3.仕事や学業、健康などに支障をきたしても、ゲームがやめられない。
「ゲーム障害」による悪影響
「ゲーム障害」によって、肉体的、精神的、また金銭的にも大きな影響を及ぼすと思われます。そのことにより、例えば糖尿病の人が脳卒中を起こす割合が高くなるといったことと同じように、「ゲーム障害」の人たちも別な病気を発症してしまう割合が多くなる事は大いに予想できる事です。
身体的影響
身体面では、体を動かさず、食事をまともに摂らなくなることによる血流障害・栄養障害・体重減少・筋肉減少・持久力減少・骨粗しょう症などさまざまなリスクの要因のほか、視力低下や睡眠障害になりやすいという報告もあります。
精神的影響
精神面や脳への影響では、理性をつかさどる前頭前野の働きが低下することで、攻撃性が高まったり、対人関係を悪化させてしまう可能性も懸念されています。対人関係が上手くいかなくなるのですから社会的な行動も制限されてしまいます。引きこもりなどに陥る人もいるでしょう。
金銭的影響
また、オンラインゲームは、自分の陣営を強くするために、色々な「アイテム」を購入してより強さを増して戦うことになります。その「アイテム」を購入するための出費を惜しまなくなったりして、多額の課金や借金で、家族を困らせることもあります。
実際に起きている被害
「ゲーム障害」が原因とみられる死亡事故はすでに起きており、CNNによると、台湾人の男性が2015年、3日間のゲーム漬けの後に死亡したとの報道がありました。台湾でのゲームでの死者は、その年で2人目だったということです。
ゲーム会社の動向
WHOが国際疾病として認定したことで、ゲーム会社のコンテンツ開発にも影響を及ぼす可能性があります。課金の仕組みなどにも影響が出そうです。
ゲーム市場
世界的にゲームの人気は高まっています。オランダの調査会社ニューズーによると、世界のゲーム市場は2018年で1349億ドル(約15兆円)に達し、21年には1740億ドル(約19兆円)まで拡大する見通しです。
米国の成人は全体の65%にあたる1億6400万人が日常的にビデオゲームをしているとの試算もあります。近年はオンラインゲームが普及し、利用者が課金を繰り返して長く続けるコンテンツも多くあります。
今回のWHOの認定で、ゲーム会社がどう動くのか、世界的に注目されています。ゲーム会社のコンテンツの作り方や「アイテム」の課金の仕方の変更など、社会的評価を意識して、変化していかざるを得ないのではないかと思われます。
今まで通りにしていたのでは、ゲームのやり過ぎで「ゲーム障害」になったから賠償金を支払えと法的な問題に発展する可能性も出てくるでしょう。
「ゲーム障害」とならずにゲームと上手く付き合うには
ゲームは悪い面ばかりではありません。最近ではゲームが与える良い影響も注目されてきています。例えば、1日1時間以内のゲームをすることで、「集中力が高まる」「計画性を養える」といった報告があったり、ストレス解消にもなります。
ゲームをするルールを決める
「ゲーム障害」に陥らないためにはゲームをやるときの基本的なことを押さえておきましょう。
1.時間を決める(1日1時間以内)
2.課金の上限を決める
3.運動をしたり、趣味を楽しむ時間をつくる
4.場所を決める(1人になる部屋へ持ち込まない)
5.家族や知人との食事を楽しむ時間をつくる・・・など
「ゲーム障害」になってしまったら
「ゲーム障害」を克服するには他の依存症と同じように、そのものから引き離す事しか解決策はありません。本人には辛い事でしょうが、社会的に上手く立ち回れなくなってしまった以上、それしかありません。
「ゲーム障害」を治療する
「ゲーム障害」を治す場合は「完全にゲームを断つ」のがベストです。依存症になったのですから「一日10分だけにしよう」とか「1時間だけにしよう」などの注意行為は既にもう手遅れです。それを許したらまた元の依存症に戻ってしまいます。依存症が酷くなった場合、そこから引き離すことを何よりも優先するべきです。
何にせよ「ゲーム障害」を治すには、完全にゲームをやめるさせること。そして他の依存症と同じように精神的な治療を行なうこと。これしか選択の余地はありません。
一例として、アルコール依存症の場合、強制入院させ、絶対に飲酒をさせないようにすることもあります。やがて、ある程度回復したら、断酒の会のようなサークルに通い、お酒を自分に引き付けないような行動に移る方が多いと思います。
「ゲーム障害」の人たちは、未だ、病院をも巻き込んだ治療体制は整っていませんが、一刻も早くゲームをやめさせるにはどうしたら良いかを精神科又は心療内科の先生に相談して、最善の道を探りましょう。おそらく自分ではもうどうしようも出来ないと思いますので周りがサポートできる環境をつくることも大切です。
「ゲーム障害」予備軍の人たちも一度専門家の先生に相談される事をお勧めします。よいアドバイスがもらえるはずです。
「ゲーム障害」今後の治療
この障害が病気として認められることで、今後は調査や研究も進み、国の対策も望まれるようになるでしょう。そうなれば、「ゲーム障害」の診断や治療にも役立つようになります。
施行予定は2022年1月からですから、そこを境に各地に「ゲーム障害」の専門部門を持つ病院が出てくるはずです。きっと、先のアルコール依存症の場合と同じような治療の体制が整ってくると思われます。
病院では主治医の問診やカウンセリングのほか、同じゲーム依存症患者らとともに話し合い、本人が癖や誤りに気づけるよう促すプログラムやゲームができない環境をつくることも大切になるでしょう。
また、同じ病気を持つ人や家族たちが集まり、断酒会と同じような組織も出来てくると予想されます。そこまで社会的体制が整ってくれば、この依存症も少なくなってくるのではないでしょうか。
予備軍の人たちも、自分は病気の可能性があるのではと、なかなか行きにくかった精神科や心療内科に行きやすくなるのではないかとも思われます。
まとめ
楽しいはずのゲームでまさか病気になってしまうなんて、恐ろしいですね。そうならないように、ゲームを行なう際の基本ルールを守って楽しむようにしましょう。
金曜や土曜日に徹夜までして楽しんでいる予備軍の方たちも、一度自分を見つめなおして、ゲーム依存度が高すぎると思われる方は、十分に注意して欲しいと思います。