振り飛車はプロから学べ!将棋盤に芸術を描き出すプロ棋士10名とは

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  • 最終更新日:2018年06月05日
  • yasu
振り飛車

華麗なる振り飛車はまさに盤上のアート。
振り飛車党棋士たちは盤上の芸術家と呼んでも過言ではありません!!そんな芸術家(棋士)たちが描き出す戦法には、異名が付けられるほど。

そこで今回は盤上のアーティスト『振り飛車党の棋士たち』を取り上げたいと思います。アマチュアは振り飛車ファンでいっぱいです。プロでは少数派ですが、振り飛車党の棋士たちは自分達の愛する戦法をこよなく愛し、己の道を貫いています。

振り飛車を愛する気持ちがあるのならば絶対に知って欲しい!
振り飛車を得意とする10名のプロ棋士たちを詳しく紹介したいと思います!!

どうぞお付き合い下さい。

振り飛車とは

振り飛車

将棋の基本的な戦法に、「居飛車」「振り飛車」があります。
居飛車は飛車が元いる定位置から堅く戦う“縦”のイメージ。振り飛車は飛車を元いる定位置より左側に振り、飛車を縦横無尽に動かす“横”のイメージの戦法です。

  • 将棋盤の中央に振る『中飛車』
  • 先手六筋/後手四筋に振る『四間飛車』
  • 先手七筋/後手三筋に振る『三間飛車』
  • 先手八筋/後手二筋に振る『向かい飛車』

振り飛車は将棋を始めたばかりの人にも覚えやすいため、アマチュアにたいへん人気があります。筆者が通った将棋道場や大会では8割ほどの人が振り飛車だった事もあるくらいの人気戦法です。

振り飛車をおすすめする理由

振り飛車にはロマンがあります。指し方がシステム化されつつある居飛車とは違い、まだ知らない、誰も見たことがない局面になりやすいのもロマンを感じますし、昭和的な無頼派が好んで指してみたくなるイメージもあります。

振る位置によって数多くの戦法があるため、まったく飽きることがありません。
将棋にロマンを求めて止まない人や、初心者で人とは違う戦法を指したい人には特におすすめします!!

振り飛車党・棋士選びの条件

  1. 現役棋士であること
  2. 将棋ファンから振り飛車党と認められていること
  3. 特徴のある棋士であること

※上記のルールを定めて選抜はしたものの、筆者の好みも反映されている事はご了承ください。

近藤正和六段

ゴキゲン中飛車

近藤六段
近藤六段

生年月日:1971年5月31日
出身地:新潟県
師匠:(故)原田泰夫九段

ゴキゲン中飛車ひとすじの近藤六段。真っ直ぐな熱い指し回しに大注目!!

近藤六段といえばゴキゲン中飛車。近藤六段の陽気な人柄と実に合う、カラッと明るい戦法です。

ゴキゲン中飛車はもともと5筋位取り中飛車をルーツとし、力戦中飛車を得意としている木下浩一七段や有森浩三七段が指し始めたと言われています。

道なき道であった5筋位取り中飛車の道を舗装し、ゴキゲン中飛車として誰もが通れる道にしたのが近藤六段です。

ゴキゲン中飛車とは

基本的に後手番での戦法とされていて、通常の振り飛車は角道を止めますが、角道を開けたまま中飛車にし、飛車先の歩をどんどん伸ばしていきます。

まさに攻める振り飛車代表格の戦法。攻めることが大好きな、攻め100%の人にはうってつけの戦法です。筆者も激しくなりやすい戦法を覚えたい人には、おすすめしたいと思っています。

考えてみればゴキゲン中飛車が将棋界にでてから、もう20年近く経っているいるわけで、基本的にずっとゴキゲン中飛車一筋の近藤六段の熱意は相当なものです。

ゴキゲンな男・近藤六段

近藤六段はゴキゲン中飛車について、100個くらいの対ゴキゲン中飛車への対策を持っているそうです。

パソコンなど機械類は苦手だそうで、将棋の研究は主に棋譜並べ。ソフト研究全盛期である現在の棋士ではアナログ派の近藤六段は少数派です。
ジャズ鑑賞、鉄道旅行、囲碁と多彩な趣味の持ち主。

全ての趣味においてとことん凝るタイプと言いますから、ゴキゲン中飛車一筋の近藤六段らしいですね。

戸辺誠七段

戸辺流三間飛車

戸辺誠七段
戸辺七段

生年月日:1986年8月5日
出身地:神奈川県横浜市
師匠:加瀬純一七段

生粋の振り飛車党らしさ全開が戸辺七段。華麗な駒のさばきと野性味あふれる攻めに大注目!!

人気アイドルグループ『乃木坂46』のメンバー伊藤かりんさんに将棋を教えている先生としてもお馴染み。31歳の若さにも関わらず、4名の弟子がいる程の話上手・教え上手です。

生粋の振り飛車党であり、戸辺攻めと呼ばれる強烈な攻める振り飛車が持ち味。中飛車と石田流三間飛車を得意としています。

佐藤天彦名人、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、高崎一生六段らと共に「平成のチャイルドブランド」かつてそう呼ばれていました。

※平成のチャイルドブランド:2000年代前半、10代半ばの少年たちが大挙してプロ棋士養成機関・奨励会二段、三段に上がってきた現象を、羽生世代の「チャイルドブランド」にちなんで名づけたもの。

 

戸辺攻めとは

戸辺七段の話によると「駒損をしても相手の守りの金銀を剥がし、相手玉に迫っていく」感覚だそうです。

銀をはじめとする他の駒を犠牲にして、と金を作り攻めの継続を図って行く、久保王将との共通性を感じますが、戸辺七段の攻め方そのものを戸辺攻めと呼んでイイのではないでしょうか。

初心者には、戸辺攻めというのは難易度高めと感じますが、振り飛車好きには本当にたまらない攻めと思います

乃木坂46の将棋師匠・戸辺七段

戸辺七段、様々な分野で活躍しています。東京・自由が丘で子供や初心者、女性向けに将棋教室を行っていますし、将棋マンガ「ハチワンダイバー」には実名で登場しているほど。

戸辺七段の実家は新潟県十日町市で「日本一高額の米を生産する農家」として知られています。ちなみにお米は完全人力の無農薬、不耕起栽培で作られ、お米の値段は東京では1俵18万円の値をつけるそう。

実生活では男の子ふたりのお父さんでもあります。

窪田義行七段

窪田ワールド

窪田義行七段
窪田七段

生年月日:1972年5月18日
出身地:東京都足立区
師匠:(故)花村元司九段

窪田七段ならでは!!解説不能な異端を感じさせる指し回しに大注目!!

とにかく独特!窪田ワールドとも呼ばれる自らの世界を持っている個性派棋士です。

振り飛車では四間飛車を最も得意としますが、華麗な棋風ではなく力戦派であり、手数の多い将棋をモノにし勝ち切れる感覚は他の振り飛車党棋士とはひと味ちがう何かを感じさせるほど。

二枚目の顔立ちですが、人柄も実に個性的で妖しさ満点。A級棋士である深浦康市九段は弟弟子、元A級棋士の森下卓九段は兄弟子となります。

炸裂!!窪田ワールド!!

  • 対局中に大きく何度も頷く。
  • 対局場にドリンクを大量に持参。
  • 初手を指す前に背広の上着を脱ぐ。
  • 対局場に空気清浄機を持参する。
  • かつて手首に数珠を幾重にも重ね着けていた。
  • 対局時には炭酸水と「スズメ蜂ウォーター」を飲むほどの健康志向。
  • 劣勢の時に手の平で顔を覆うことから、ファンにアイアンクローと呼ばれる。

将棋界の異端者・窪田七段

永世七冠ならぬ通常七段を自称。本人ブログや本人Twitterでは難解で分かりずらい表現を好み、将棋においても、「窪田流」としか言いようのない独自の振り飛車を指す、真の個性派異端棋士。

独自振り飛車では、3手目3三角戦法という乱戦志向で力将棋に持ち込む指し方を得意としています。趣味は時代劇、特撮、アニメ、ゲーム、歴史物やSF物の読書。プロ野球・阪神タイガースの大ファン。

杉本昌隆七段

相振り飛車

杉本七段
杉本七段

生年月日:1968年11月13日
出身地:愛知県名古屋市
師匠:(故)板谷進九段

「相振り革命」と言う著書もある杉本七段。盤上の革命家を目指したい人こそ杉本流相振り飛車!!

杉本七段と言えば大活躍中の藤井聡太六段の師匠として最近はマスコミに引っ張りだこですが、もともとは相振り飛車のスペシャリストとして振り飛車ファンの間では知られていました。

居飛車との対抗形では四間飛車を最も得意としています。藤井システムが大流行していた当時は、本家・藤井九段や久保王将らと共に、居飛車穴熊対策として藤井システムをよく指していました。

システム以前の四間飛車や相振り飛車の定跡確立に大いに貢献した、優れた研究家として知られています。

相振り飛車とは

お互いに飛車を振り合って戦う戦法ですが、今までは振り飛車党同士の対戦での戦法とされていましたが、最近は居飛車党棋士も作戦として相振り飛車にして指すことが増え、以前は定跡らしい定跡のない力戦将棋とされていましたが、定跡化も相当進むようになりました。

ちなみに女流棋士は振り飛車党棋士が非常に多いため、相振り飛車の戦いになることがとても多くあります。

藤井聡太六段の師匠・杉本七段

杉本七段、実はとても熱い人なんです。弟子の藤井聡太六段がまだプロ棋士養成機関である奨励会2段時のインタビューで「彼がもし棋士になれなかったら、私は責任をとって引退しなければといった思い」とまで語っています。
そして夢について訊ねられた杉本七段の答えがまた熱いと言いますか、感動してしまうくらいです。

「棋士人生で何か形に残るものを作り上げたい。棋士としての最終目標は”杉本の振り飛車”を作り上げることです」見た目の穏やかな印象では計れない、とても強い信念と熱さを持っている人です!!

藤井猛九段

藤井システム

藤井猛九段
藤井九段

生年月日:1970年9月29日
出身地:群馬県沼田市
師匠:西村一義九段
獲得タイトル:竜王3期(第11期1998年度~13期)

「破壊王」とも称されるその攻めは、相手の囲いを完全に壊すほどの破壊力。藤井九段の対局観戦は、BGMでパンクロックを流しながら!!

東の真打登場!!
振り飛車人気を決定付けた棋士であり、藤井システム創始者。藤井九段の活躍によって、どれだけの振り飛車ファンが興奮し歓喜したことか。

藤井九段にまつわるネット用語
「てんてー」
「てんてーがファンタやらかした」

など、ネットで話題になる事も振り飛車ファンに愛されている証拠です!
※てんてー(先生):藤井九段の親しみやすい雰囲気や言動などから付いた愛称。
※ファンタ:終盤戦でポカをしてしまうことが時にあるため、サッカーのファンタジスタをモジり、終盤のファンタジスタという愛称が付いたもの。

歩の上に金銀をおいて攻める「ガジガジ流」と呼ばれる攻めもアマチュアには分かりやすく説得力は十分すぎるほど。

居飛車が主流のプロ将棋で振り飛車最大の天敵だった「居飛車穴熊」「左美濃」を攻略した功績は計り知れません。近寄りがたいカリスマではなく「となりのカリスマ」そんな印象の人気抜群棋士です!!

藤井システムとは

居飛車が主流のプロ将棋では、対振り飛車では「居飛車穴熊」か「左美濃」にしておけば大丈夫という風潮がありました。しかしそのままでは振り飛車党棋士は勝てません。
そこで藤井九段は血のにじむような研究を重ねた末に、居玉のままで先攻する、「対居飛車穴熊藤井システム」、美濃囲いの銀の下に玉を囲って戦う、「対左美濃藤井システム」を創りあげました。

この二つの藤井システムはそれまでの対振り飛車は居飛車側有利の評価を覆すほど。居飛車側の「左美濃」は全滅に追いやったくらいです。独創的で破壊力抜群の藤井システムが原動力となり、藤井九段は竜王位のタイトルを獲得。人気が爆発したのは当然の結果でした。

土の匂いがする棋士・藤井九段

人まね将棋がキライなアーティストタイプの独創家。四間飛車にこだわり他の振り飛車はあまり指さなかったですし、角交換振り飛車という独特な戦法も指していました。

群馬県出身で、故・米長邦雄永世棋聖からは「土の匂いがする将棋」と評されたことがあるほど。奥様は元・囲碁インストラクターです。モテる雰囲気は抜群ですが、奥様と出会うまで女性とまったく縁はなかったそうです。振り飛車ファンの「となりのカリスマ」、これからの活躍も大いに期待しています!!

鈴木大介九段

豪快中飛車

鈴木大介九段
鈴木九段

生年月日:1974年7月11日
出身地:東京都
師匠:(故)大内延介九段
タイトル挑戦:竜王:1回(第12期1999年度)棋聖:1回(第77期2006年度)
獲得合計:0期

豪快流のスカッとする男らしい指し回しに大注目!!

早見え、早指しが特徴の人気棋士です。生粋の振り飛車党ですが、ここ数年は居飛車も指すようになって来ました。近藤六段のゴキゲン中飛車に独自アレンジを加えた、「豪快中飛車」と「石田流三間飛車」を得意としています。

師匠である、故・大内延介九段譲りでとても豪快な棋風であり、テレビやネットで観ていても、棋譜を並べていてもスカッとするほど。人柄も良く多くの棋士仲間から慕われています。

早見え・早指しの棋士とは

その局面での最善手が早く見えて、相手の棋士よりもいち早く指すことが出来るタイプの棋士。 指し手を決めるまで時間が短いのが最大の特徴。

プラス面は持ち時間が短い、早指し対局で自分の武器となる。マイナス面は持ち時間が長い対局で相手に長考されるとシンドくなる、などがあります。

鈴木九段はどうでしょう?以前テレビ将棋解説で、「最近の将棋界は激辛流が流行っていますが、私は激甘流です」と自虐的に語っていたくらい、その当時は長所の早見え・早指しがアダとなり、深く局面を読まず、取りこぼした対局が多かったのでしょう。

※激辛流:俗に「友達を無くすような指し方」と言われるほど、相手の心までへし折って勝つ指し方。丸山忠久九段や羽生善治竜王が有名。

おおらかな豪快男・鈴木九段

人徳のある人です。奥様は若手棋士がよく行く店のマドンナ的存在だった方で、若手棋士の誰もが憧れる方でした。そんな奥様は鈴木九段のおおらかな人柄と人望の厚さに惹かれていったのだとか。

現在43歳で日本将棋連盟常務理事を務めていることからも鈴木九段の人徳は分かると思います。 麻雀が趣味で、奨励会時代には桜井章一氏率いる雀鬼会に参加していたとか。

サイバーエージェント社長の藤田晋氏は雀鬼会時代に卓を囲んでいた仲間だそうで、AbemaTV将棋チャンネルの開設は鈴木九段が藤田氏に提案したことがきっかけになっているそうです。プロ野球・巨人の大ファン。

久保利明王将

石田流三間飛車

久保利明王将
久保王将

生年月日:1975年8月27日
出身地:兵庫県加古川市
師匠:淡路仁茂九段
獲得タイトル:棋王3期(第34期2008年度~36期)王将4期(第59期2009年度~60期・66~67期)

さばきのアーティストの異名を持つ久保利明王将。盤上のアーティストならでは、超一流の”さばき”に大注目!!

西の真打登場!!
関西将棋界を代表する振り飛車党棋士です。芸術的センスを感じさせるその振り飛車は、”さばきのアーティスト”と評されるほど。

不利な局面でも決してあきらめることなく、最善手を粘り強く指し続ける姿は感動を覚えるくらい。将棋は「心・技・体」です!と断言。とても説得力ある将棋を指します。

かつては四間飛車党でしたが、最近は先手ならゴキゲン中飛車、後手なら石田流三間飛車を指すことが多いようです。久保将棋は振り飛車ファンすべてに影響を与える、まさに振り飛車伝道師と言っても過言ではありません!!

石田流三間飛車とは

角道を止めないで7五歩と突いて飛車を振る戦法ですが、さまざまな種類があります。「早石田」「升田式石田流」「新・石田流」など。

どれも定跡通りにはなかなか行かない所が魅力であり、力将棋や乱戦志向のある人向きかも知れません。

居飛車側は出来れば乱戦にはしたくないと思っていますから、通常の定跡化された戦法は指したくない、自分の戦法で勝負したい、そんな人には大おすすめ戦法です。

さばきのアーティスト・久保王将

藤井九段、鈴木九段と並んで、振り飛車御三家と呼ばれています。左利きなのと振り飛車党であるのは鈴木九段と同じですが、棋風は正反対です。

鈴木九段が力強い棋風なのに対して久保王将は軽く駒をさばく棋風。強くなるため関東に移籍していた頃に結婚しますがその後離婚。関西に戻り再婚し、大阪市で妻と女児2人の4人暮らしです。プロ野球・阪神タイガースの大ファン。

棋士会副会長を務めるなど、普及やファンとの交流にも積極的です。

中田功七段

コーヤン流三間飛車

中田功七段
中田七段

生年月日:1967年7月27日
出身地:福岡県福岡市中央区
師匠:(故)大山康晴十五世名人

昭和無頼派っぽい雰囲気抜群!!中田将棋、とにかく興味深く観戦して欲しいです!!

愛称「コーヤン」。中田七段、筆者の中では昭和無頼派棋士のイメージがあり、芸術的な指し回しから、心底振り飛車が似合う棋士だと思います。

コーヤン流三間飛車と呼ばれる、藤井システムが出る前に左美濃・居飛車穴熊対策として流行した戦法を編み出しました。その功績はとても大きいです。

中田七段は現名人である、佐藤天彦名人の師匠。そして中田七段の師匠は昭和の大棋士・大山康晴永世15世名人。名人の師匠であり、名人の弟子。こんな棋士は中田七段以外には存在しません!!

コーヤン流三間飛車とは

対居飛車穴熊、対左美濃への戦法です。コーヤン流は「真部流」と言う、故・真部一男八段が愛用していた戦法がベースになっていて、角道を通した上で単騎桂跳ねからの端攻め、6筋の位を取り玉は美濃囲いの銀の下に囲うところなど、「コーヤン流」三間飛車の構えは師匠である故・大山康晴15世名人の将棋もヒントに。

真部流や大山将棋の研究と実践から編み出された、とても優秀な戦法です!!

昭和無頼派・中田七段

B型、獅子座、九州男児・・・なんとなくイメージは湧くと思います。草野球やサッカーが趣味。麻雀はかなりの腕前です。

本人の将棋への”思い”をご紹介いたしましょう。

“四段には18歳でなった。それからC2に7年、C1は10年目になる。もう勝つことにも負けることにも慣れてしまった。未だに私の周りは強い奴ばっかりで、しかも前より増えている気がする”
“父は去年亡くなった。私の順位戦の成績だけを気にしながら最後まで酒とたばこをやめなかった。対局の日の朝、父に似てきた自分の顔を見つめる。「父さん、僕はもうあんまり強くはなれないかもしれないけど俺らしくやってくるよ」。今のありのままの自分、生き方考え方、喜怒哀楽全てを将棋なら表現できる。そしてやはり勝ちたい。勝てば父の喜ぶ顔が浮かんでくる”
※引用先:将棋世界2002年11月号、中田功六段(当時)自戦記「自分らしく」より

小林健二九段

スーパー四間飛車

小林健二九段
小林九段

生年月日:1957年3月31日
出身地:香川県高松市
師匠:(故)板谷進九段

熟練の域に達した四間飛車は年代ものワインの味わい。熟練の技をぜひ味わって下さい!!

大ベテラン「スーパー四間飛車」でお馴染みの小林九段です。筆者にとってもたいへん思い出深い、いまは無き秋葉原将棋センターに通っていた頃、小林九段著書「スーパー四間飛車」をいつも読んでいました。

筆者が四間飛車を指すきっかけを与えてくれた棋士です。

テレビの将棋解説ではいつもたいへん分かりやすく解説してくれますし、優しさ厳しさ両方持ち合わせている良い人なのだろうなぁと感じています。

スーパー四間飛車とは

藤井システム登場以前、四間飛車は天敵、居飛車穴熊にやられっぱなしでした。これは振り飛車党棋士にとって死活問題です。

そこで小林九段は四間飛車でどう戦うかを考え抜き研究していった結果、それまでの四間飛車から新しい四間飛車へと、定跡を大きく発展させました。

この様な事から小林九段は自らの四間飛車を「スーパー四間飛車」と名付けました。

四間飛車定跡功労者・小林九段

弟弟子に藤井聡太六段の師匠である杉本昌隆七段がいて、杉本門下の藤井六段の大師匠(名目上は甥弟子)として紹介されることがあるほど。

趣味は野球やゴルフ好きなスポーツマン。将棋の普及やファンを大切にする、関西将棋界の親しみやすい師匠です。

師匠の故・板谷進九段出身地であり、小林九段が内弟子として過ごした、東海地方に念願のタイトルを藤井聡太六段が持って来る。そのことを小林九段は願っているはずです!!

佐藤康光九段

変態流角交換振り飛車

佐藤康光九段
佐藤九段

生年月日:1969年10月1日
出身地:京都府八幡市
師匠:田中魁秀九段
獲得タイトル:竜王1期(第6期1993年度)名人2期(第56期1998年~57期)
棋王2期(第32期2006年度~33期)王将2期(第51期2001年度・61期)
棋聖6期(第73期2002年度~第78期)永世棋聖(就位は原則引退後)

将棋連盟会長・現役A級棋士としての凛とした佇まいと、「変態流」と評されるほどの独創的な将棋に萌えて欲しいです!!

佐藤九段を振り飛車党に入れることには異論のある人も多いかと思います。

しかし、かつて「矢倉の佐藤」と呼ばれていた頃の印象はほとんど無くなり、「変態流」とまで呼ばれるくらい、2005年頃から独創的な将棋を指すようになっています。

中でも得意戦法としているのは、「ダイレクト向かい飛車」、「角交換四間飛車」。永らく羽生さんのライバルとして切磋琢磨してきた間柄。実力、知名度、人気は言うことなし。現・日本将棋連盟会長です。

「変態流」とは

筆者が現地で観戦した2006年JT将棋日本シリーズ決勝では、ライバルのひとりである郷田真隆九段を相手に、佐藤九段先手角交換四間飛車から終盤の狂気までも感じる凄まじいねじり合いを制して優勝しました!

当時はまさかあの正統派の中の正統派棋士の佐藤さんがプロでは中々あり得ないような戦法を指すとは・・・すごいギャップに驚いた記憶があります。

そうです、正統派棋士である佐藤九段が指し始めて拡がっていったからこその「変態流」だと思うのです。

変態流的正統派棋士・佐藤九段

とても熱い人です。その熱さがあるからこそ、谷川浩司前日本将棋連盟会長辞職後のたいへんな時に、会長職を引き受けられたのでしょう。筆者個人的には佐藤九段の熱さは、かつてのテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の熱さと共通点も感じるほど。

同世代棋士である、先崎学九段に「モテミツくん」とのあだ名を付けられ、それ以降将棋ファンからは「モテ」と親しみを込めて呼ばれるように。

弟は歌舞伎役者、市川段一郎。大の納豆好きでパンのときも納豆を付けるほどだとか。2004年8月に結婚し女の子のお父さんでもあります。プロ野球・巨人の大ファン。

おわりに

主に中堅~ベテランの振り飛車党棋士たちをご紹介しましたが、機会があれば、若手振り飛車党棋士10名や女流振り飛車党棋士10名もご紹介できたらと思います。

振り飛車はとても魅力ある戦法です。居飛車との対抗型も相振り飛車戦も楽しいです。振り飛車を知れば将棋がさらに楽しく、面白くなること間違いありません!!

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